【沖縄の爬虫類】アイツとわたしがお風呂で激闘した夜の話

てぃーだニュース編集部

2016年11月15日 14:00


ある日の晩。
お風呂でシャワーを浴びていると、視界の片隅にササササッと動くなにかの影が見えた。

これは、もしかして、まさか、ゴ、ゴ、ゴ、ゴキ…







ヤモリ!!!


そっちかーい。お前かーい。
ちょっと予想してなかった。混浴相手が爬虫類。

そもそもヤモリなんてレアキャラ、27 年間生きてきて日常でご一緒したことなんてほぼなかった。

そう、沖縄にくるまでは。


沖縄にはヤモリがたくさんいた



2016 年 6 月。東京から沖縄に移住してまだ間もない頃。私は、北中城村の友人宅に居候させてもらっていた。

小高い丘のうえで車通りも少ない閑静な場所。家の庭や山のほうから虫たちの鳴き声がよく聞こえる。


「チュ、チュ、チュ、チュ」

その虫たちの声に交じって、小鳥のさえずりが聞こえる。
「夜に鳥が鳴くなんて、さすが沖縄」なんて適当な感動に浸っていた私に、友人が言った。

「その声、ヤモリな」


この声、ヤモリか。

ヤモリって鳴くんだ。初めて知った。
小鳥の鳴き声だと思って聞き惚れていた私、気持ちのやり場どこ。

「ケッ、ケッ、ケッ、ケッ」「キュ、キュ、キュ、キュ」など人によって表現する擬音は異なるけど、私にはやっぱり「チュ、チュ、チュ、チュ」とちょっとセクシーなソレに聞こえる。





沖縄に来てからやたらヤモリを見るようになった。気付けば建物の壁や窓にくっついてペタペタとはい回っている。

とはいえ、さすがに浴室で出会ったのは初。
話を戻す。


ヤモリは人畜無害だから油断したんだ



浴室には、シャワーを浴びながら固まる私と、壁にぴったりくっついたヤモリ。

あちらは私を警戒しているのか微動だにしない。もちろん鳴かない。


一方の私。これがゴキやムカデ(浴室での遭遇経験アリ)なら絶叫しながらお風呂場を飛び出す or 勢いを最強にしたシャワーをぶっかけるのだけど、ヤモリとなれば話は別。

ヤモリは、かわいい。
クリっとした黒目もペタペタ歩く姿も、なんともかわいらしくて私は好きだ。

あちらも動かないし、特に怖がる必要もないだろう。そう思って気にせずシャワーを浴びていたところ、ヤモリのほうに水滴がとんでいってしまった。











あああああああああああああああ。

無理無理無理無理無理無理無理無理無理。

水滴がかかって驚いたヤモリが壁から突然ジャンプ。あろうことか私の足元ギリギリのところに着地した。

これは反則。思わず大絶叫。湯をためていないバスタブに慌てて飛び込んだ。

その後も、シャワーの水が飛んでいくたびにピョンピョン跳びペタペタペタペタと猛スピードで移動するヤモリ。そして、すっかり怖気づく私。



どうしよう、洗顔



シャワーも終盤。残るは洗顔のみ。
しかし、もし目の開けない洗顔中にヤモリがペタペタ移動して気付けば足元にいたら……。ダメだ、怖い。

そこで私は、泡が目に入らないよう細心の注意を払いながら目をつぶらずに洗顔することにした。ヤモリの姿を見失わないよう、目をおっぴろげて敵を凝視しながら顔に泡を広げる。新手の妖怪かよ。

幸い、洗顔中には動く様子を見せなかったヤモリ。良かった。

油断した。





あああああああああああああああ。( 2 回目)

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

泡が目に入ってあえなく自滅。
眼球をおそう激痛にひとり悶絶しながらシャワーを顔面に浴びせかける私。ヤモリから見ればきっと地獄絵図。


半泣きで泡を洗い流し、慌ててヤモリがいた方向を確認する。
悲劇の最中も、やつは一歩も動いていなかった。いいやつだ。


ヤモリがびっくりして動かぬよう、そろりそろりと浴室から出る 27 歳裸体の絵面。去り際にふと目をやると、ヤモリがこちらを見てクスッと笑った気がした。(自意識過剰)



この記事を書いた人
ライター 真崎|ブログ:「真崎ですよ」

 フリーライターの真崎です。
 真面目な取材記事からゆるめのコラム、旅エッセイまでわりといろいろ書きます。
 2016 年 6 月から沖縄の宜野湾市に住んでいます。
 得意な沖縄料理はゴーヤチャンプル、それ以外は作れません。




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