「あのひっとっと~こんにちは~♪
このひっとっと~こんにちは~♪
今日もこのまち近商ストッア~♪」
私の実家がある京都府南部には、近商(きんしょう)というスーパーがたくさんある。あらゆる人に無差別でこんにちはしている上記の曲は近商ストアのテーマ曲。中年女性が終始明るい裏声で歌っているこの曲が、近商に行くとエンドレスで流されている。
(気になる方は「近商ストア テーマソング」でググって聞いて欲しい。)
私の近所にも近商があった。小学生の時はお使いやお菓子を買いにほぼ毎日近商へ通い詰めていたため、ほぼ毎日「あのひっとっと~」とクセのあるスタッカートを耳にしていた。学校では友人たちと「今日もこのまち近商ストッア~wwwwww」と歌いながら爆笑していた。なにがそんなに楽しかったのだろう。
京都を離れてから 4 年目。この曲は私の日常ではなくなり、最近まで存在すら忘れていた。
では、なぜ今さら地元スーパーの歌など思い出したのか。
原因は他でもない、スーパー「ユニオン」である。
「かねひで」や「サンエー」など沖縄には主要スーパーがいくつかある。ユニオンもそのひとつ。
ユニオンは 24 時間営業で、早朝でも美味しいお惣菜を買いに行けるのが個人的に嬉しい。また、ちょっとやそっとのことで営業を止めないことも沖縄では有名で「台風のときにユニオンが閉まったらいよいよ危機」と災害レベルの判断にも使われている。
私の近所には、徒歩圏内に某スーパー、車を数分走らせた場所にユニオンがある。当初は家から近い某スーパーをよく利用していた。しかし、ユニオンのほうが安く野菜を買えることに最近気付き、今では週 3 ~ 4 ペースでユニオンに行く。
「ユニオン」のテーマソングが私の口から...
「なぁ、真崎なんでさっきからユニオンの歌うたってんの?」
先日、友達に突然ツッコまれた。
友達に言われて初めて、自分が「い~こう~よ~ユニオンッ♪」とひたすら口ずさんでいることに気付いた。
頭に浮かんだ曲を無意識でずっと口ずさんでいることは、私にはよくある。
しかし、オシャレなカフェ店内で、よりにもよってユニオンのテーマ曲をずっと歌っていたのだから恐ろしい。穴に入って火星まで行きたいレベルの羞恥である。
「こ~こは~おきなわっ♪」
「 み~んなっで~おっき~な和~♪」
「い~こう~よ~ユニオンっ」
「み~んなっで~ユッニ~オン~♪」
「に~じゅう~よじかんっ♪ 」
「いっまも~あいって~ます~♪」
「もちろんそれっは~~~~~ ユニオンですからっ♪」
ユニオンのテーマ曲「ユニオンですから!」を歌うのは、どこか愉快な感じの中年男性である。上記のサビはポップに歌い上げられ、AメロBメロで演歌調になる。
シンプルな歌詞と、独特のリズム。しっかり聞いてみると、なんだかちょっとクセになる。
ユニオンでは、この「ユニオンですから!」がエンドレスで流れている。
ユニオンのCMソングは完璧に口ずさめるようなるサブリナル効果
買い物中に意識して聞き入ることなど1度もなかった。それなのに、私はいつの間にかこの曲を歌詞まで完璧に口ずさめるようになっていた。サブリミナル効果。
歌えるようになる、だけでは済まない。
私の頭は「ユニオンに行ったあと数時間は『ユニオンですから!』が離れない」という恐怖仕様になってしまった。
曲自体は好きなのだ。きっと沖縄でも愛されている名曲なのだと思う。
ただ、日常的に口ずさみたいかと言われたら話は別である。どうせなら流行りのJ-POPやオシャレな洋楽なんかをチョイスしたい。
「ユニオンですから」を早々に鼻歌リストから外したいが、なかなかの強敵で悩ましい。この記事を書きながら気付けば「こ~こは~おきなわっ♪」と歌い始めている自分が憎い。
近商でのケースしかり、この世で最も中毒性の高い歌は「地元スーパーのテーマ曲」ではないかと思っている。
この記事を書いた人
ライター 真崎|ブログ:「真崎ですよ」
フリーライターの真崎です。
真面目な取材記事からゆるめのコラム、旅エッセイまでわりといろいろ書きます。
2016 年 6 月から沖縄の宜野湾市に住んでいます。
得意な沖縄料理はゴーヤチャンプル、それ以外は作れません。
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