【沖縄の怖い話】第九話「見えてる」
こんばんは。てぃーだ読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか?
今夜は身も凍るようなゾっとするお話をお届け。
そうです、「沖縄の怖い話」のお時間です。
今夜もお集まりいただきありがとうございます。
てぃーだニュース沖縄の怖い話、本日 第九話目 です。たくさんのご投稿、本当にありがとうございます!
まだまだ募集してますよ~!
我こそは怖い体験をしたという皆様、ぜひ恐怖体験をご投稿ください。お待ちしております!
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それではお待たせいたしました。
てぃーだニュース沖縄の怖い話第九話をお届け致します。
「見えてる」(ミチノリさんより)
あれは私が中学生の頃でした。
当時、私が住んでいた家は築40~50年の瓦屋根の家でした。
沖縄では「カワラヤー」と呼ばれる赤瓦の昔ながらの平家です。
祖母、父、母、兄弟たちと賑やかに暮らすその家は、古いながらも風通しは良く、良い意味で風情のある作りになっていたのを覚えています。
問題点をあげるとすれば、よくゴキブリが出た事ぐらいでしょうか。
大人になっても消えないトラウマを持つほどのゴキブリストーリーもありますが、今回は省きます。。。
続けます。
我が家は非常に開放感のある家でした。
車通りの多い道に面してはいましたが、とくに物騒な事件が起きた事の無い場所だったので、家のカギをかけずに出かける事も多々ありました。
家の鍵をかけたとしても、簡単に開けられるような作りではありましたが笑。
窓の多い家で、日中はカーテンも開けっ放しなので、よく陽が入りました。
そんなある日、部活が休みだったのでいつもより早く学校から帰ると、私以外誰もいませんでした。
祖母はデイケア、父は仕事、母は買い物、兄弟は部活。そんなところでしょう。
カギをかけずに誰もいないなど、特に珍しくもないのであまり気にせずにテレビを見ていました。
ダラダラとテレビを見ていると眠くなり、しばらくしてから寝入ってしまいました。
2時間ほどたってから目が覚めたので、トイレに行きました。
築何十年にもなる古い我が家にはトイレが二つありました。
一つは水洗式の新しいトイレです。
もう一つは汲み取り式の古いトイレです。
トイレに行くには台所から勝手口を出なければいけない作りになっていました。
二つという言い方をしてしまいましたが、汲み取り式の古いトイレは何年も前に汲み取り部分が埋められて封鎖しており、小さな物置のようになっていました。
勝手口を出ると二手に分かれており、左には古い汲み取り式のトイレ、右には新しい水洗式のトイレといった並びになっています。
トイレから戻り、テレビの前で「フーッ」っと一息つくと、まだ家の中には誰の気配もしません。
夕方になっていたので「さすがにそろそろ誰か帰ってくるかな?」
なんて思ったその時、妙な気配を感じたので、私は外を見ました。
そこには、灰色の着物を着た髪の長い女の人が立っていたのです。
女の人は我が家の庭に立っており、僕に背を向けていました。
一瞬、変な胸騒ぎがしましたが、チャイムも無い古い家なので、誰かが家の敷地内に入ってくる事は珍しい事ではありません。
お客さんかなと思い、ボーっと見ていたのですが、その女の人は僕に背を向けたまま動きません。
なんで?っと思いながらも、僕も動けず、1分、2分と時間が過ぎていきました。
さすがに声をかけた方がいいのかなと思い、玄関を開けて声をかけました。
僕「あのー、どうしましたか?」
女の人「・・・。」
僕「あのー、すみません?」
女の人「えてる?」
僕「えっ?」
女の人「見えてる」
女の人がゆっくりと振り向いたとき、声をかけた事を後悔しました。
薄暗い白い顔をした女がニヤリと笑いました。
声になっていない叫び声をあげても、そこには僕とその女しかおらず、完全なパニック状態になりました。
玄関を閉めてカギをかけてから全く動けずにその場で震えていると、女が玄関を叩きながらつぶやいています。
女「見えてる」
女「見えてる」
女「見えてる」
やばいやばいやばいやばい。
どうしよう、逃げないとやばい。
その時、玄関を叩く音が止まり、女の影が庭の方に動きました。
僕「えっ」
っと思った瞬間、庭側の窓が開く音がしました。
「やばい、家に入ってきた。」と思った僕は、台所に走り勝手口を開けました。
勝手口から道路側に逃げようと思ったのですが、すでに僕の視線の先には女が立っていました。
完全なパニックになり、トイレに逃げ込もうとした僕の頭の中に、
「こっちだ」
という声が聞こえました。
声は古いトイレの方から聞こえた気がしました。
僕は無我夢中で物置になっていた古いトイレに逃げ込みました。
古いトイレに入り中からカギをかけて震えていると、バンバンとドアが叩かれます。
「みえてるみえてるみえてる」
もうダメだと思ったその時。
祖父の大きな怒鳴り声が響いたのです。
「ぬーそーがー!出ていけ!」(方言訳「何してるんだ!出ていけ!」です。)
大きな声と同時にドアを叩く音は止み、あたりが静かになりました。
しばらく、茫然としながらトイレから出る事が出来ずにジッとしていると、誰かが帰ってきたような音がしました。
それでもドアを開けられずにジッとしていると、勝手口が開き、「誰かいるの?」という祖母の声が聞こえました。
恐る恐る古いトイレから出てくる僕に祖母は驚きましたが、僕が訳を話すと優しく言いました。
祖母「よかったねぇ。オジーが守ってくれたんだねぇ。」
僕は静かに「うん。」と言いました。
そうです。
僕が逃げ込んだ古いトイレは、小学生の頃、祖父が倒れて亡くなっていた場所なのです。
新しいトイレは、祖父が亡くなってからしばらくして作られました。
あの女が何だったのかは分かりませんが、祖父が僕を助けてくれた事だけはハッキリと覚えています。
そして僕はあれ以来、後ろを向いている人に不用意に声をかける事は無くなりました。
沖縄の怖い話第九話「見えてる」いかがでしたか。
あなたは今までに、こちらに背を向けたまま不自然にじっと佇む人を見かけたことはありますか。
それはもしかしたら、人じゃない何かかもしれません。声を掛ける際にはお気を付けて。
それでは次回の「沖縄の怖い話」もお楽しみに!
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