それでも沖縄の水が日本一まずいと悟った日。

家に帰るやいなや、
「ナスが爆発した!」
と意味の分からない言葉を浴びた牧です。
最近のナスって爆発するんですか?とりあえず今夜の食卓には、爆発済みの焼きナスが並んでおりましたが、味はナスらしく、可もなく不可もなくでございました。
美味しい料理に欠かせないものってなんでしょう。
いい調味料?
食材の素材そのもの?
愛、という答えもありだと思いますよ。
私の答えは別にあります。
15歳の時、家族で生まれて初めて沖縄にきたのですが、とにかく行く先々で食べるものが美味しくありません。
沖縄はそもそも、日本ではないからこんなもんなのだとガックリうなだれる私。
しかし、次に沖縄に来た大学3年21歳の時には、料理がどれも美味しく感じたのです。
不思議に思って色々調べてみると、どうやら水事情が改善されたことが料理の味の向上につながった、というのが私なりの結論でした。
料理の味の根本を形成するのは水なのだと、今は確信しています。

GWの阿蘇山。阿蘇の水はかなり好みです。
というわけで、今日の週中コラムは、『沖縄の水』がテーマです。(『敏感な、ある女性の悲劇』とも言う)
長い文章が苦手な方は、後半まで飛ばしましょう。
話は10年以上昔に遡ります。
当時、地元高知県から東京に上京した私は、練馬区のボロアパートで初めての夜を迎えていました。
夜、就寝前に歯磨きをして口をゆすごうと、口に水道水を含んだその刹那。
不快感が全身を駆け巡ったのです。
「水が臭う・・・・!」
カルキか何か、ともかく水が強烈に消毒されているのがよく分かります。
普通の家の水道から出てくる水がこんな臭いのするものだとは露も思わず、森林率全国1位の大地に育まれた水道水との違いを痛感することになったのです。
とは言ってもさすがに5年以上住んでればそれなりに慣れるもので、いつしかその出来事も記憶の彼方に追いやってしまっていた24歳の春。
当時、環境問題や水事情に関心の高かった私は、友達を集めてある実験を試みたのです。
人は、東京の水道水とミネラルウォーターを判別できるのか、そして、どちらを美味しく感じるのか!?
まぁ、単なる『きき水』ですね。
教室に来た友達を片っ端から15人ほど捕まえ試したのですが、驚くべき結果が出ました。
地元が田舎で、東京に住んでいる期間が短いほど、違いを正しく把握し、ミネラルウォーターが美味しいと言ったのに対し、東京出身の人ほど、違いを余り把握できず、水道水を美味しいと言ったのです。
つまり東京の水道水は、長い時間をかけて人の臭覚・味覚を狂わせていたんですね・・・。
ちなみに隅田川が海に注ぐあたりは、その9割が浄化後の水だそうですよ!大都会の人口を養うために、同じ川から何度も取っては排水、取っては排水を繰り返すんですねぇ・・・そら美味しい水にはならないよ・・・。

そんな東京都の水道水、ペットボトルで大絶賛発売中!!
そしてその1年後。
運命の悪戯により沖縄にやってきた私は、構えた居で新しい生活を送る準備をしていました。
東京での生活もあり水は買って飲む主義、しかしまずはと思って蛇口をひねり、ゴクリと水を飲んでみました。
「・・・なにこれ、ノド通りづらい!!!」
まず感じたのは、味そのものよりも、『水が硬い』という事実。
ともかく飲み込むのに咀嚼が必要かと思わせるその硬度は、水そのものの味を損なうどころの話ではありませんでした。
ご存じの通り、沖縄は琉球石灰岩の土壌のため、この地で育った水は多量のミネラルを含んでいます。
特に北谷浄水場は、県内屈指の硬い水を水源にしているため、硬度低減装置なるものを導入して、必死で硬度を下げようとしているのです。

不評を買う北谷浄水場の水源たち。
ちなみに。
一般的な『美味しい水』の硬度:10~100mg/L
東京の水道水の平均硬度:約65mg/L
北谷浄水場が目指している(!)硬度:116mg/L
そら美味しくないわ。。

北谷にはこれとは別に、海水淡水化施設というものがあり、北谷の海から水を取って飲料水を作っている。この話はまたいずれ。
ともあれ、沖縄で生きるためには水がマズイと愚痴っている場合ではありません。あまりの硬さにメデューサのごとく変質していく我が髪の毛を憂いながら、徐々にその現実を受け入れることにしました。
ところが。
悲劇はここでは終わらなかったのです。
3年度、石垣島への異動命令が出ました。
離島も多く、本島より海も綺麗で山もある石垣島。
私は新たな生活(主に遊び)に大きな夢を描き、喜び勇んで石垣島に飛んでいったのです。
東京での初夜と同じく石垣島での最初の歯磨きでのこと。
まさかの悲劇が、私に降りかかりました。
「うえぇぇぇぇぇ!!!!!」
身体がブルブル震え、驚きのあまり嗚咽の後に声も出ません。
水が・・・水が・・・・吐くほどマズい!!!!!
今度は『硬い』というレベルの話ではありません。もう、言葉にすることができないほどに、臭く臭く、とにかくマズいのです!!!
その臭さマズさたるや、シャワーとして体に浴びることにも嫌悪感を示すほど。
石垣市は、一体何をやっているんだ?これで仕事してるとでも思っているのか!?
私はこの経験を石垣島に住んでいる人に言いまわったのですが、多少の同意を得られたのみで、基本的には
「味覚が鋭いのね、ご愁傷さま(笑)」
という反応が多数でした。なんてこった・・・。
そのうち、なぜこんなに水がまずいのかを石垣市に聞いてみたいと思います。

石垣島の水源でもある名蔵ダムで開催されたウェイクボード大会に出たことがあります。ぽしゃって水飲んだけど、味は普通のため池でした。
20代前半までは気ままに旅人することもあったので、47都道府県のうち40以上は訪れています。
私は、沖縄が大好きです。
恥ずかしくも、『約束の地』だと言い回るほどです。
そんな私が断言できる事実があります。
それは、
『沖縄の水は日本一マズイ』
いくら改善したとは言え、所得並みにまだまだ上を目指す必要のある沖縄の水道水なのでした・・・。
今日はここでは終わりません。
せっかくなので、実験をしてみましょう。
用意したのは3種類の水。
左から順に、①ミネラルウォーター、②浄水器と還元機器を通した水道水③純度100%水道水。
日本一マズイ水で4年間生活した私の味覚・嗅覚は今も健在か、それともご臨終したのか。
確認してみましょう。
お風呂も終わってすっぴんで失礼します。
なお、公平を期すために水は全て常温です。
*皆さんは答えを見ながら、私の反応を追ってみてください。
まず手渡されたのは、②還元水
飲み口を探すところから。
牧「あ、これは分かった・・・なんというか、すごいまろやか。臭いがない。」
次は③水道水。
・・・?
牧「鼻を通すとカルキの臭いがすごい。水道水だと思う」
最後に①ミネラルウォーター。
牧「さっきの(水道水)と味が似てるけど、鼻通すと臭いが全然違う。こっちは不快感がないね。でも、味そのものはさっきのと激似」
というわけで、
(正解)⇒私の出した答え:理由
①ミネラル⇒還元水:これと水道水の違いが小さい。臭いがマシな分、還元後だと思う。
②還元水⇒ペットボトル:味が圧倒的に違いまろやかだから。まろやかペット。
③水道水⇒水道水:臭い。絶対
かなり自信ありました。
それでは、オープン!
残念!!
ここであーだーこーだと言ってるんですが、カット。
浄水器と還元機器のダブル効果にしきりに感心する反面、志布志の水と水道水の酷似っぷりに愕然。
その昔、地下深層水を売りにしていたどこぞのペットボトルミネラルウォーターが、実はその辺から採った水だったという事実が発覚し、社会がショックを受けたことがありました。
志布志の水・・・大丈夫なのだろうか・・・。
ちなみに母親にもやってもらってみたところ、
大ハズシ!!
しかも、水道水が一番おいしいとのたまっていました。なんて安い女だ・・・。
ミネラルウォーターは硬水軟水、自然水還元水、種類が様々で、飲み比べをしても一概に「これがミネだ!」という判断基準がないかもしれません。
還元機器が素晴らしすぎたのが予想外だったんですが、水道水に即座に反応したあたりまだ舌は健在だと言えそうです。よかったよかった。
週末金土は急きょ、久米島自転車の旅になりました。
先週のリベンジしたいと思います。
・おきなわバカ(仮)より転載・編集